器質性月経困難症とは?症状・原因・治療法を解説

器質性月経困難症とは?症状・原因・治療法を解説

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器質性月経困難症とは、子宮内膜症や子宮筋腫といった具体的な病気が原因で、日常生活に支障をきたすほどの強い生理痛などが起こる状態のことです。痛みが年々強いとか、現在の治療で十分な効果が得られない場合は、医師に相談して原因を調べてもらうことが大切です。この記事では、器質性月経困難症の症状・原因・治療法を分かりやすく解説します。
神谷 仁
神谷 仁かみや母と子のクリニックかみや母と子のクリニック院長/沖縄県産婦人科医会副会長1985年5月に琉球大学産婦人科に入局し、昨年6月に分娩取り扱いを終了するまで2万人以上の分娩に立ち会ってきました。生理、出産、育児、更年期等の悩みなど女性の幅広い年齢層に対応できるクリニックの院長として地域医療に取り組んでおります。プロフィール詳細を見る

月経困難症とは? 機能性と器質性の違い

女性がおなかの不調を気にしている様子

月経困難症とは、生理(月経)のたびに下腹部痛や腰痛が強く現れ、日常生活に支障をきたすほどつらい状態のことを指します。単なる「生理痛」とは異なり、医学的な治療の対象となる状態です。

月経困難症には大きく分けて2つのタイプがあります。

 

機能性月経困難症

器質性月経困難症

原因

病気なし(ホルモンの働きによる)

子宮内膜症・子宮筋腫・子宮腺筋症など

多い年代

10〜20代前半

20代後半〜40代

痛みの傾向

年齢とともに軽くなることがある

年齢や体質によって
症状が変化する場合がある

経血量

変化しにくい

過多月経になる場合がある

機能性月経困難症は、子宮内膜から分泌されるプロスタグランジンという物質が過剰に働き、子宮が強く収縮することで痛みが生じます。若い世代に多く、年齢とともに症状が落ち着くこともあります。

一方、器質性月経困難症は、子宮やその周辺に何らかの病気があることが原因です。年齢や体質によって症状が変化することがありますが、放置すると不妊のリスクが高まる場合もありますので、気になる場合は早めに婦人科を受診しましょう。「最近、年々痛みが増している」「20代後半から急に症状がひどくなった」という方は、器質性の可能性を考えてみましょう。



器質性月経困難症のサイン|こんな症状があれば要注意

器質性月経困難症は、一般的な生理痛と区別しにくいことがありますが、以下のような特徴的なサインがあります。気になる症状がないか、ぜひチェックしてみましょう。

痛みの変化に注目しましょう

機能性月経困難症の痛みは10〜20代前半にピークを迎え、年齢とともに軽くなる傾向がありますが年々痛みが増えたり、鎮痛薬の量が増えたり、生理期間以外にも腰痛や腰痛が続いている場合があります。

また、生理期間以外の骨盤痛や腰痛がある場合、子宮内膜症による炎症や癒着が原因となる場合もありますが「以前はこんなに痛くなかった」という変化を感じたら、そのままにせず婦人科にご相談ください。

経血量の変化(過多月経)

以下のような症状がある場合は「過多月経」の可能性があり、子宮筋腫や子宮腺筋症が原因のことがあります。

  • 昼間でも夜用ナプキンが1〜2時間でいっぱいになる
  • レバー状の大きな血の塊が頻繁に出る
  • 生理期間が以前より長くなった
  • 貧血気味で、疲れやすい・めまいがする

経血量が多い場合、貧血のリスクが高まるので、量が増えたと感じたら早めに受診されることをおすすめします。

痛み以外の症状にも目を向けましょう

生理痛以外にも、以下のような症状がある場合は器質性月経困難症、特に子宮内膜症が疑われます。

  • 排便痛:生理中に便が通過する際に激しい痛みが走る
  • 性交痛:深い部分に痛みを感じる
  • 慢性的な腰痛:生理期間以外にも続く
  • 吐き気・嘔吐:痛みが強いときに伴う

これらの症状は、子宮や周辺臓器の炎症や癒着が関係している場合もあります。一つでも当てはまる症状があれば、ぜひ産婦人科にご相談ください。



器質性月経困難症の主な原因となる病気

医師に相談している女性
医師に相談している女性

器質性月経困難症の背景には、以下の3つの病気が多く見られます。どのような病気なのかを知ることで、不安を和らげ、受診へのハードルを下げることができます。

子宮内膜症

本来は子宮の内側だけにある子宮内膜に似た組織が、卵巣・腹膜・腸管など子宮以外の場所で増殖・出血を繰り返す病気です。出血が体外に排出されないため、炎症や癒着を引き起こし、強い痛みにつながります。

卵巣に発生すると「チョコレートのう胞」と呼ばれる血液の貯留ができ、不妊の原因にもなることがあります。また排便痛・性交痛・慢性的な骨盤痛など、生理痛以外の症状も特徴的です。30〜34歳に最も多く見られ、若い世代からの注意が必要です。

子宮筋腫

子宮の壁(平滑筋)にできる良性の腫瘍です。がんではなく命に関わるものではありませんが、大きさや場所によって月経痛・過多月経・腰痛・頻尿・便秘などの症状を引き起こします。

特に、子宮の内側に突き出るようにできる「粘膜下筋腫」は小さくても症状が強く出やすい特徴があり、30〜40代の女性に多く見られ、閉経後は自然に小さくなる傾向があります。症状の程度・年齢・妊娠希望などを踏まえて治療方針を検討します。

子宮腺筋症

子宮内膜に似た組織が、子宮の筋肉の層(筋層)の中にできてしまう病気で、子宮内膜症の一種と考えられています。月経周期に合わせて内膜組織が増殖・出血を繰り返すことで、子宮全体が硬く腫れて大きくなります。

これにより子宮の収縮がうまくいかなくなり、強い月経痛・過多月経・貧血などを引き起こします。子宮内膜症と合併することも多く、MRI検査で診断されることもあります。日常生活に影響がある場合は、早めに医療機関にご相談いただくことをおすすめします。



婦人科への受診タイミングと診察の流れ

「このくらいで病院に行っていいのかな」と迷っている方も多いですが、日常生活に影響が出ている症状は受診のサインです。以下の目安を参考にしてみましょう。

こんなときは婦人科にご相談ください

  • 市販の鎮痛薬が効かなくなった、または飲む量・回数が増えてきた
  • 生理痛で仕事・学業を休む、早退することがある
  • 生理のたびに寝込んでしまう
  • 年々生理痛がひどくなっている
  • 経血量が明らかに増えた、レバー状の塊が頻繁に出る
  • 生理期間以外にも下腹部痛・腰痛・排便時痛がある

 一つでも当てはまる場合は、ためらわずに婦人科を受診しましょう。「大げさかな」と思う必要はありません。専門医に正しく評価してもらうことが、早期発見・早期治療への第一歩です。

診察の流れ

はじめて婦人科を受診する方のために、一般的な診察の流れをご紹介します。事前に知っておくと、当日落ち着いて臨めます。

  1. 問診:症状の始まった時期・痛みの強さ・経血量・生理周期など詳しくお聞きします
  2. 内診:医師が直接触れることで、子宮・卵巣の大きさや位置、圧痛・癒着の有無を確認します
  3. 経腟超音波(エコー)検査:超音波で子宮・卵巣の内部をリアルタイムで画像化します。筋腫・チョコレートの細胞・子宮の肥厚などが確認できる場合があります
  4. 必要に応じた追加検査:MRI検査(子宮腺筋症の診断や癒着範囲の把握)・血液検査(貧血確認・腫瘍マーカーCA125)などを行うことがあります

 問診の際は、以下の情報をあらかじめ整理しておくと、医師に正確に伝えやすくなります。

  • 痛みが始まった時期と変化の経過
  • 痛みの強さ(10段階)・性質(キリキリ、ズーン等)・場所
  • 経血量・生理期間の長さ・血の塊の有無
  • 鎮痛薬の種類・服用頻度・効果の程度
  • 生理痛以外の症状(排便痛・性交痛・吐き気等)
  • 妊娠・出産の経験と、今後の妊娠希望の有無


器質性月経困難症の治療法

ソファであったかい飲み物を飲んでリラックスしている女性

診断を受けたあとは、症状・年齢・妊娠希望などに合わせて治療法を選んでいきます。治療の目的は、痛みを和らげるだけでなく、病気の進行を抑え、生活の質(QOL)を回復させることです。

薬物療法(鎮痛薬・ホルモン療法・漢方)

まず試みることが多いのが薬物療法です。大きく3種類あります。

  1. 鎮痛薬(NSAIDs)
    市販・処方される非ステロイド性消炎鎮痛薬(NSAIDs)は、痛みの原因物質・プロスタグランジンの産生を抑えます。痛みを始めるタイミングや予測される時点での摂取が推奨される場合がありますので服用方法については医師または薬剤師にご相談ください。市販薬で対応できない場合は、処方薬への切り替えも検討できますので、遠慮なくご相談ください。
  2. 低用量ピル(LEP製剤)・ホルモン療法
    LEP製剤は、排卵を抑制し子宮内膜の増殖を防ぐことで、プロスタグランジンの産生を減らすのが期待されます。また月経量が減少し、貧血の改善が期待できる場合もありますが効果には個人差があるので、医師にご相談ください。服用初期に吐き気・頭痛が出る場合や、稀に血栓症のリスクがある点を医師と十分に確認した上で判断しましょう。

    子宮内膜症には、ジエノゲストなどのホルモン製剤が保険で使用できる場合もあり、ご自身の状態に合った薬を主治医と相談しながら選んでいきましょう。

  3. 漢方薬
    代表的な漢方薬として、当帰芍薬散、桂枝茯苓丸、加味逍遙散などあり、症状や体質に応じて医師が処方します。効果については個人差がありますので、医師にご相談ください。

原因疾患への治療(手術)

薬物療法で十分な改善が得られない場合や、子宮筋腫が大きい、子宮内膜症の病巣が広い場合には手術が選択肢となります。

  • 子宮内膜症:腹腔鏡手術や開腹手術で癒着を剥がしたり、チョコレートのう胞を摘出したりします
  • 子宮筋腫:筋腫のみを摘出する子宮筋腫核出術、または状況によっては子宮摘出術が行われます
  • 子宮腺筋症:病巣切除や、妊娠希望がない場合は子宮摘出が選択されることもあります

手術は症状の根本的な改善が期待できる一方、身体への負担や再発リスクも考慮が必要です。年齢・症状の程度・妊娠希望の有無を踏まえ、主治医と十分に話し合った上で決めていきましょう。


放置するリスク|不妊・QOL低下への影響

「いつものこと」と我慢を続けることは、将来に大きな影響を及ぼす可能性があります。特に器質性月経困難症の場合、放置することで以下のリスクが高まります。

不妊のリスク

子宮内膜症が進行すると、卵管・卵巣・子宮周辺の臓器が癒着を起こすことがあります。卵管が癒着すると卵子と精子の出会いが妨げられ、卵巣にチョコレートのう胞ができると卵巣機能そのものにダメージを与え、卵子の質や排卵に影響することがあり、また腹腔内の慢性的な炎症が受精・着床の環境を悪化させることも報告されています。

将来の妊娠を希望している方は特に、早めの診断・治療が重要です。「生理痛がひどいだけ」ではなく、妊娠への影響も視野に入れて、専門医に相談することをおすすめします。

生活の質(QOL)の低下

月に数日、激しい痛みで仕事を休んだり集中力が落ちたりすることは、キャリアや日常生活に深刻な影響を及ぼします。大切な予定をキャンセルせざるを得ない経験が積み重なれば、精神的なストレスにもなります。

また、生理痛のつらさは周囲に理解されにくく、孤独感を抱えやすい面もあります。適切な治療を受けることで、痛みの軽減や日常生活の質の向上が期待できる場合があるので、ひとりで症状を我慢し続ける必要はありません。



まとめ|つらい生理痛は一人で抱え込まないで

ホットドリンクを両手で抱えている

毎月のつらい生理痛は、体質による場合もありますが、治療によって症状が軽減することもあります。

特に、年々痛みがひどくなる・鎮痛薬が効かなくなってきた・経血量が増えた・生理以外にも痛みがあるといった症状は、子宮内膜症・子宮筋腫・子宮腺筋症などの病気のサインかもしれません。放置すると不妊リスクや生活の質の低下につながることもあります。

まずは婦人科に相談することが、あなたの体を守る大切な第一歩です。「こんな症状で受診していいのかな」と思う必要はありません。些細な変化でも、ぜひ気軽にご相談ください。専門医と一緒に、あなたに合った治療の道を探していきましょう。

※本記事は医療情報の提供を目的としたものです。診断・治療については必ず専門医にご相談ください。


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