

【専門家監修】プレコンセプションケアとは?やるべきこと完全ガイド
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プレコンセプションケアとは、妊娠前から心と体の健康を整え、妊娠・出産に向けた準備をすることです。適切なケアを始めることで、より安心して妊娠・出産を迎えられると考えられています。この記事では、今日から始められる具体的な方法を、わかりやすくご紹介します。

プレコンセプションケアとは? 妊娠前から始める健康管理

プレコンセプションケアとは、「妊娠前からの健康管理」を意味する考え方です。ご自身の長期的な健康や、将来生まれてくるお子さんの健康的な成長を目指して取り組んでいただける方も増えています。
世界保健機関(WHO)も、妊娠前の女性とカップルへの心と体、生活全体のサポートの重要性を認めています。今では世界中で注目されている健康管理の方法なんです。
単なる「妊活」とは少し違います。プレコンセプションケアはもっと広い視点を持っているんです。妊娠・出産という人生の大きなイベントを視野に入れつつ、性別を問わず、自分自身の心と体の健康を長期的に見つめ直すライフプランニングの一環といえるでしょう。
日々の生活習慣や健康状態を考えることは、妊娠・出産やその後の子育て、自分の人生全体をより良いものにするための一つのきっかけになると考えられています。
妊娠を考える男女すべてが対象です
プレコンセプションケアは、女性だけのものではありません。妊娠・出産は、カップル二人で取り組むものです。男性の健康状態や生活習慣も、妊娠のしやすさや生まれてくるお子さんの健康に大きく影響することがわかっています。
たとえば、喫煙や飲酒は、女性の卵子だけでなく男性の精子の質にも悪影響を及ぼす可能性があります。だからこそ、パートナーと一緒に知識を深め、協力して健康管理を行うことが大切なんです。
お互いの健康状態に関心を持ち、食生活の改善や適度な運動、禁煙・節酒といった生活習慣の見直しに共に取り組むことで、より良い結果につながります。
今注目される3つの理由
近年、プレコンセプションケアが注目される背景には、いくつかの社会的変化があります。
- 晩婚化・晩産化の進行
現代では、出産年齢が高くなる傾向にあり、それに伴い妊娠・出産のリスクも増える可能性が指摘されています。そのため、妊娠前から意識的に健康管理を行い、より安全で健やかな妊娠・出産につなげることが大切になっています。 - 働き方の多様化
男女の働き方が多様化する中で、それぞれが自分のキャリアプランやライフプランを主体的に設計する機会が増えました。計画的に健康管理を行うプレコンセプションケアは、仕事と家庭の両立を考える上でも大切な位置を占めます。 - 予防的アプローチの重要性
予防的なアプローチによって、将来的な健康リスクの軽減が期待されており、妊娠中・出産時の合併症リスクについても研究が進められています。これは、生活の質(QOL)を高めることにも大きくつながります。
プレコンセプションケアの3つの目的

プレコンセプションケアに取り組むことには、主に3つの大切な目的があります。
- ご自身の健康増進
妊娠・出産を考えているかどうかにかかわらず、日々の生活習慣を見直し、心身ともに健康な状態を目指すことは、生涯にわたるご自身の財産となります。適切な栄養摂取や運動習慣は、将来の生活習慣病予防にも役立ちます。 - より健全な妊娠・出産のチャンスを増やす
健康的な体を維持することは、妊娠や出産に向けた体づくりの前提として推奨されています。たとえば、適正体重を維持することは、妊娠糖尿病や妊娠高血圧症候群のリスク軽減に配慮する可能性があるとされています。また、葉酸の摂取は、妊娠初期の赤ちゃんの神経管閉鎖障害リスク軽減に役立つとされています。このように、具体的なケアを通じて、安心して妊娠に臨める状態を目指します。
- 次世代の若者の健康を考える
お母さんとお父さんの健康状態は、生まれてくるお子さんの健康にも深く関係しています。特に、妊娠初期の母親の健康状態は、子供の発達に影響を考慮して考えられています。プレコンセプションケアは、将来のお子様の健やかな成長をサポートするための一つの方法です。妊娠前から心と体を整えることで、赤ちゃんが育つ環境づくりに役立つと考えられています。
このように、プレコンセプションケアは単なる妊娠準備ではなく、未来の自分と家族のための健やかな未来への準備といえるでしょう。
今日から始める! プレコンセプションケア実践ガイド
「将来的に子どもを望んでいるけれど、具体的に何から手をつければ良いかわからない」という不安を抱えている方は少なくありません。ここでは、ご自身のペースで無理なく始められるよう、プレコンセプションケアで実践すべきことを段階的にご紹介します。
まずは自分の状態を知る「セルフチェック」
プレコンセプションケアの最初のステップは、ご自身の心と身体の状態を客観的に把握することです。ご自宅で手軽に始められるセルフチェックから始めてみましょう。
国立成育医療研究センター「プレコン・チェックシート」の活用
国立成育医療研究センターが提供している「プレコン・チェックシート」は、ご自身の健康状態を多角的に振り返るための具体的なツールです。
- 日々の生活習慣
- 食生活
- 運動習慣
- 月経の状態
- 過去の病歴
- メンタルヘルス
女性用と男性用の両方が用意されていますので、パートナーと一緒に取り組むことで、お互いの健康状態への理解を深め、今後の話し合いのきっかけにもなります。このチェックシートは、国立成育医療研究センターのウェブサイトから手軽にダウンロードできます。
健康的な生活習慣を取り入れましょう
セルフチェックで自分の状態が把握できたら、次は具体的な生活習慣の改善に取り組みましょう。完璧を目指す必要はありません。大切なのは、できることから一つずつ、ご自身のペースで始めることです。
食事と栄養:バランスの取れた食事と葉酸の摂取
健康な身体づくりの基本は、何よりも日々の食事から始まります。主食・主菜・副菜が揃ったバランスの良い食事を心がけましょう。特に、妊娠を計画している女性にぜひ意識していただきたいのが「葉酸」の摂取です。
- ほうれん草、ブロッコリー、アスパラガスなどの緑黄色野菜
- いちご、アボカド
- 豆類
- レバー
これらの食品を積極的に食事に取り入れることに加えて、これらの食品を積極的に食事に取り入れて、必要に応じてサプリメントの利用を検討することも選択肢の一つです。妊娠を希望するタイミングで専門医に相談し、適切なサプリメントの利用を検討するのも良い方法です。
適正体重の維持
適正体重を維持することも大切です。BMI(Body Mass Index)は「体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)」で計算できます。目標とすべきBMIの目安は18.5以上25.0未満です。
痩せすぎ(低体重)の場合、ホルモンバランスが乱れやすくなり、排卵障害や月経不順につながることがあります。一方、太りすぎ(肥満)の場合も、排卵障害のリスクが高まるだけでなく、妊娠糖尿病や妊娠高血圧症候群、分娩時のリスクなど、さまざまな合併症のリスクを高めることが分かっています。
運動・睡眠・ストレス管理
身体的な健康だけでなく、精神的な健康もプレコンセプションケアには欠かせません。
- 運動:ウォーキングなどの有酸素運動を週に合計150分程度行うことが推奨されています。階段を使う、一駅分歩いてみるなど、日常生活の中で無理なく取り入れられる工夫から始めてみましょう。
- 睡眠:睡眠不足はホルモンバランスの乱れに直結します。質の良い睡眠を十分にとることを心がけてください。
- ストレス:ストレスは妊娠にも影響を与える可能性があるため、自分なりのリラックス方法を見つけることが大切です。好きな音楽を聴く、湯船にゆっくり浸かる、軽いストレッチをするなど、自分に合った方法でストレスを管理していきましょう。
禁煙・節酒
タバコとアルコールは、男女ともに妊娠・出産に悪影響を与えることが知られています。
- 喫煙:女性の喫煙は卵子の質の低下を招き、不妊や早産のリスクを高める可能性があります。男性の喫煙も精子の質や運動率の低下につながることが分かっています。
- 飲酒:妊娠中の飲酒が赤ちゃんに胎児性アルコール症候群を引き起こすリスクがあるため、妊娠を考え始めた時点から節酒、できれば禁酒することが望ましいとされています。
パートナーの方にも協力を仰ぎ、一緒に禁煙・節酒に取り組むことで、より健康な身体づくりを進めることができます。
受けておきたい検査と予防接種
日々の生活習慣の改善と並行して、医療機関で受けていただきたいのが、各種検査や予防接種です。これらは、ご自身では気づかないうちに潜んでいる病気や感染症を早期に発見し、妊娠前に適切な治療を済ませておくために大切です。
婦人科検診・歯科検診
定期的な婦人科検診と歯科検診は、プレコンセプションケアの基本中の基本です。
- 婦人科検診:子宮頸がん検診に加えて、超音波検査で子宮筋腫、卵巣のう腫、子宮内膜症といった妊娠に影響を及ぼす可能性のある病気の有無を確認できます。早期に発見し、妊娠前に治療や経過観察の計画を立てることで、妊娠期間より安心して過ごす可能性があります。
- 歯科検診:妊娠中は、つわりによる歯磨き不足や、ホルモンバランスの変化によって虫歯や歯周病が悪化しやすくなります。妊娠前に虫歯や歯周病の治療を済ませておくことが大切です。また、歯周病は早産や低出生体重児のリスクを高める可能性も指摘されています。
感染症の検査とワクチン
妊娠中に感染するとお腹の赤ちゃんに大きな影響を及ぼす可能性のある感染症については、事前に検査を受け、必要に応じてワクチン接種を検討することが大切です。
- 風疹:妊娠初期の女性が風疹に感染すると、赤ちゃんが先天性風疹症候群(目、耳、心臓に障害が出る可能性のある病気)にかかるリスクが考えられます。抗体が無い場合は、妊娠前にワクチン接種を受けることが推奨されます。ワクチン接種後は、一定期間の避妊が必要となりますので、医師とよく相談して計画的に進めましょう。
- 性感染症:クラミジアや淋菌などの性感染症も、妊娠に影響を与える可能性があります。多くの場合、自覚症状がないまま進行することが多いため、パートナーと話し合い、必要に応じて検査を受けておくことも大切です。
将来の妊娠に備えるオプション検査
必須ではないものの、ご自身の体の状態をより詳しく知り、将来のライフプランを考える上で参考になるオプション検査も存在します。
AMH(抗ミュラー管ホルモン)検査:卵巣に残っている卵子の数の目安を知ることができる検査です。ただし、AMHの数値は卵子の「数」の目安であり、卵子の「質」を測るものではありません。また、AMHの数値が低くても妊娠する可能性は十分にありますし、数値が高くても必ずしも妊娠しやすいというわけではありません。あくまでライフプランを考える上での参考情報の一つとして、その限界も理解した上で冷静に受け止めることが大切です。
パートナーと一緒に取り組むプレコンセプションケア

プレコンセプションケアは、決して一人で抱え込むものではなく、パートナーとの協力が欠かせません。妊娠・出産は二人で経験する大きなライフイベントであり、健康管理も二人で取り組むことで、より安心して、そして前向きに進めることができます。
男性も知っておきたい不妊の事実
「不妊は女性の問題」と考えられがちですが、実はそうではありません。世界保健機関(WHO)の調査によると、不妊の原因は男性側にのみある場合が約24%、男女双方に原因がある場合が約24%と報告されており、合わせて全体の約半数に男性が関わっていることが分かります。
男性不妊の主な原因としては、精子を作る働きに問題がある状態が挙げられます。これは精子の数や運動率、形に問題がある状態です。このような状況は自覚症状がないことが多く、自分では気づきにくいのが特徴です。
男性が取り組むべき生活習慣
健康の質や健康状態の維持には、日々の生活習慣を見直すことも一つの方法とされています。
- 禁煙
- 節度ある飲酒
- バランスの取れた食事
- 適度な運動
また、男性特有の注意点として、精巣の温度管理も重要です。長時間のサウナ利用や、ぴったりとした下着の常用は、精巣の温度を上昇させ、精子の生成に悪影響を与える可能性があります。
もし妊娠を考えているのであれば、必要に応じて精液検査を受けることも検討しましょう。精液検査は、精子の数、運動率、形などを評価するもので、男性不妊の原因を探る上でとても大切な検査です。泌尿器科や不妊治療専門クリニックで受けることができます。
二人で話し合うライフプラン
「いつ頃子どもが欲しいか」、「何人くらい欲しいか」、「子育てと仕事のバランスをどう考えるか」といった将来のビジョンについて、日頃からオープンに話し合う機会を持つことが大切です。
お互いの健康状態や、場合によっては検査結果を共有し、それぞれの現状を理解することから始めてみましょう。そうすることで、たとえば食事の準備や運動の時間を一緒に作るなど、具体的な生活習慣の改善にも協力して取り組めるようになります。
こうした話し合いや協力は、妊娠・出産だけでなく、その後の子育て、さらには夫婦としての長期的な関係性にも良い影響を与えます。パートナーと共通の目標を持ち、お互いを思いやりながら支え合うことで、漠然とした不安も具体的な行動へと繋がり、より安心して新しい家族を迎える準備を整えることができるでしょう。
よくある質問|プレコンセプションケアQ&A
ここまでプレコンセプションケアの基本から具体的な実践方法までを解説してきましたが、「具体的にどうしたらいいの?」といった疑問をお持ちの方もいらっしゃるでしょう。ここでは、多くの方が抱きやすい疑問について、Q&A形式で分かりやすくお答えします。
Q1: いつから始めるのがベストですか?
プレコンセプションケアを始めるのに「遅すぎる」ということはありません。理想的には、妊娠を考える1年以上前から健康管理を始めることが望ましいとされていますが、「思い立ったが吉日」です。気づいたその日から始めることが最も大切です。
10代や20代の若い世代は、将来のライフプランを見据えて早い段階から健康について考える機会を持つことで、その後の人生における健康の土台を築けます。もちろん、30代、40代で妊娠を考え始めた方も、今からできることはたくさんあります。焦らず、ご自身のペースで一歩ずつ取り組んでいくことが大切です。
Q2: 費用はどのくらいかかりますか?利用できる助成金はありますか?
プレコンセプションケアにかかる費用は、受ける検査や内容によって異なります。具体的な費用については、各医療機関にてご確認ください。一般的な健康診断や一部の検査は保険適用となる場合もありますが、AMH検査や風疹などのワクチン接種費用は自費診療となることが多いです。費用の目安や詳細は、各医療機関にてご確認ください。
費用負担が気になる方のために、自治体によっては独自の助成制度を設けている場合があります。例えば、風疹抗体検査やワクチン接種費用、特定の感染症検査、さらにはAMH検査費用などに対して助成を行っている自治体もあります。
お住まいの市区町村のホームページで「プレコンセプションケア 助成」「不妊検査 助成」といったキーワードで検索し、利用できる制度がないか確認してみましょう。
Q3: 持病や服用中の薬がある場合はどうすればいいですか?
糖尿病、高血圧、甲状腺疾患といった持病をお持ちの方や、日常的に何らかの薬を服用されている方は、妊娠を計画する際に特に注意が必要です。
自己判断で薬の服用を中止したり、量を変更したりすることは大変危険です。必ず、かかりつけの主治医と、妊娠を考えていることを伝えた上で産婦人科医に相談してください。
持病によっては、妊娠中の母体や赤ちゃんに影響が出ないよう、病状を安定させるための治療計画の見直しや、服用している薬を妊娠に影響の少ないものへ変更する必要がある場合があります。
複数の医師と連携を取り、安全な妊娠・出産に向けた計画を立てることが何よりも大切です。
相談窓口と次の一歩
プレコンセプションケアは、未来の自分と家族のために始める大切な健康管理です。しかし、「どこに相談すればいいのか」「どんな情報が信頼できるのか」と迷う方も少なくありません。
国や研究機関の相談窓口・公式サイト
プレコンセプションケアに関する情報は多岐にわたるため、信頼できる情報源を選ぶことが大切です。
- 厚生労働省:妊娠・出産に関する基本的な情報や制度について確認できます。
- 国立成育医療研究センター「プレコンセプションケアセンター」:プレコンセプションケアの概念から具体的な取り組み、「プレコン・チェックシート」のような実践的なツールまで、網羅的な情報が公開されています。
- スマート・ライフ・プロジェクト:国民の健康づくりを推進する取り組みで、生活習慣改善に役立つ情報を提供しています。
お住まいの自治体の支援事業
プレコンセプションケアに関する取り組みは、国だけでなく各自治体でも積極的に進められています。
- 東京都:「TOKYOプレコン相談サポート」といった相談窓口を設置し、専門家が無料で相談に応じています。
- 福岡市:30歳になる女性を対象としたAMH検査費用助成や、市役所内にプレコンセプションケアセンターを設置し、相談体制を強化しています。
お住まいの市区町村のホームページで「プレコンセプションケア ○○(お住まいの市区町村名)」「不妊検査 助成 ○○」といったキーワードで検索してみることをおすすめします。知らなかっただけで、身近なところでサポートが受けられる場合もあります。
プレコンセプションケア外来を探す
より専門的な視点からのアドバイスや検査を希望する場合は、「プレコンセプションケア外来」の受診を検討してみましょう。プレコンセプションケア外来は、将来の妊娠や出産を考えている方が、妊娠前から健康状態をチェックし、不安な点を相談できる専門外来です。
主に大学病院や総合病院の産婦人科、または不妊治療専門クリニックなどに設置されています。ここでは、一般の婦人科検診に加えて、感染症検査、ホルモン検査、栄養相談など、個々の状況に応じたきめ細やかなサポートを受けることができます。
まとめ

この記事では、プレコンセプションケアの基本的な考え方から、具体的な実践方法、パートナーとの協力体制の築き方まで解説してきました。「将来的に子どもが欲しいけど、何から準備すればいいの?」という漠然とした不安を抱えていた方も、プレコンセプションケアが不安解消の一助となることをご理解いただけますようお願いいたします。
プレコンセプションケアは、「完璧な準備」を目指すものではありません。まずは、国立成育医療研究センターのチェックシートを活用してご自身の状態を把握したり、バランスの良い食事や葉酸の摂取、禁煙・節酒といった生活習慣を見直したりすることから始めましょう。自分とパートナーのペースで、できることから一歩ずつ取り組むことが大切です。
こうした取り組みは、未来の家族のためだけでなく、あなた自身の健やかな毎日を支えるための大切な習慣にもつながります。
もし不安なことや気になることがあれば、お気軽にお近くのクリニックへご相談ください。お一人おひとりの状況に寄り添い、納得して次の一歩を踏み出せるようサポートいたします。
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