【医師監修】産後のむくみ解消法|原因と食事・マッサージケア

【医師監修】産後のむくみ解消法|原因と食事・マッサージケア

公開日
出産後、手足や顔がパンパンに腫れて、普段の指輪や靴がきつくなることはありませんか。産後のむくみは多くのママが経験する自然な体の変化です。この記事では、むくみが起こる医学的な理由から、自宅でできる食事やマッサージによるケア方法、そして注意すべき症状まで、医師監修のもと詳しく解説します。赤ちゃんとの新しい生活を笑顔で過ごすためのヒントをお届けします。
神谷 仁
神谷 仁かみや母と子のクリニックかみや母と子のクリニック院長/沖縄県産婦人科医会副会長1985年5月に琉球大学産婦人科に入局し、昨年6月に分娩取り扱いを終了するまで2万人以上の分娩に立ち会ってきました。生理、出産、育児、更年期等の悩みなど女性の幅広い年齢層に対応できるクリニックの院長として地域医療に取り組んでおります。プロフィール詳細を見る

産後のむくみとは? 多くのママが経験する体の変化

足のむくみ

出産を終えた多くのママが「足がパンパンで靴が入らない」「指輪が抜けない」「朝起きると顔が腫れぼったい」といった症状に悩まされています。これが「産後のむくみ」です。実は、これは決して珍しいことではなく、体が妊娠前の状態に戻ろうとしている過程で起こる自然な変化なんです。

【産後のむくみ基本情報】

項目

内容

発生頻度

産後のママの約60〜80%が経験

出現時期

出産直後〜産後3日目頃から

ピーク時期

産後2〜3日目

改善時期

産後1〜2週間で徐々に軽快

完全解消

多くは産後1ヶ月頃まで

主な原因

ホルモン変化、水分バランスの乱れ、血液循環の悪化

むくみとは、体の組織(皮膚の下)に余分な水分が溜まった状態のことを指します。医学的には「浮腫(ふしゅ)」と呼ばれ、押すと指の跡がくっきり残ったり、靴下の跡がなかなか消えなかったりするのが特徴です。

むくみが現れやすい部位

産後のむくみは、特に以下の部位に現れやすい傾向があります:

🦶 足・足首(最も多い)

  • 足が普段より太く感じる
  • 足首のくびれがなくなる
  • 靴が入らない、歩きにくい
  • ふくらはぎが重だるい

👐 手・指

  • 指輪が抜けない、入らない
  • 手を握りにくい
  • 朝起きた時に強く感じる

😊 顔

  • まぶたが腫れぼったい
  • 顔全体がむくんだように感じる
  • まぶたのむくみにより、二重のラインが目立ちにくくなる

これらの症状は、重力の影響で下半身に水分が溜まりやすいため、特に足のむくみを訴える方が多いのが特徴です。


産後にむくみが起こる主な原因

産後の体がむくみやすいのには、医学的な理由がいくつか存在します。妊娠・出産という大きな変化を経験した体が、元の状態に戻ろうとする過程で起こる自然な反応なんです。

原因1:ホルモンバランスの急激な変化

妊娠中、女性の体は赤ちゃんを育むためにエストロゲンとプロゲステロンという女性ホルモンを大量に分泌します。これらのホルモンには体に水分を溜め込む働きがあります。

しかし出産を終えると、これらのホルモンは急激に減少。特にプロゲステロンには利尿作用があるため、これが減ることで体は一時的に水分を排出しにくい状態になります。

ホルモンの変化による影響

  • エストロゲンの急減 → 体液調整機能の低下
  • プロゲステロンの急減 → 利尿作用の低下
  • 結果:体内に水分が溜まりやすくなる

原因2:水分バランスの乱れと血液循環の悪化

妊娠中、ママの体は赤ちゃんのために血液量が通常の約1.4〜1.5倍に増加しています。出産後、この余分な水分は腎臓や皮膚から排出されますが、この処理が追いつかないと組織に水分が滞留してしまいます。

さらに、以下の要因も重なります:

血液循環が悪化する理由

  1. 子宮の圧迫

    ・まだ大きい子宮が骨盤内の血管を圧迫

    ・特に「下大静脈」という太い血管が影響を受ける

    ・下半身からの血流が滞る

  2. 分娩時の点滴

    ・出産時の輸液で一時的に水分量が増加

    ・特に帝王切開の場合は輸液量が多い

  3. 出血・授乳による水分不足

    ・体が水分を溜め込もうとする

    ・要因が重なり体の水分バランスが変化しやすくなる

原因3:育児による生活習慣の変化

新生児のお世話は想像以上に大変。授乳、おむつ替え、抱っこなどで、長時間同じ姿勢が続くことが多くなります。

運動不足がむくみを引き起こす仕組み

ふくらはぎの筋肉=「第二の心臓」
 ↓
筋肉のポンプ作用で血液を心臓に戻す
  ↓
同じ姿勢が続く→筋肉が働かない ↓ 血液・水分が下半身に溜まる
 ↓
むくみが発生

加えて、睡眠不足やストレスによる自律神経の乱れも、むくみを悪化させる要因となります。


📋【セルフチェック】正常なむくみと危険なむくみの見分け方

赤ちゃんのお世話で忙しい中、「このむくみは大丈夫?」と不安になることもありますよね。ご自宅でできる簡単なチェック方法をご紹介します。

むくみ観察チェックリスト

✅ 観察環境の準備

 □ 明るい自然光の下で確認(窓際がベスト)

 □ 毎日同じ時間帯にチェック

 □ 蛍光灯の下は避ける(色が正確に見えないため)

✅ むくみの確認方法

  1. 指で押してみる

    □すねや足の甲を指で5秒押す

    □離した後、へこみが残る → むくみあり

    □すぐに戻る → むくみなし

  2. 靴下の跡チェック

    □靴下を脱いだ後の跡が30分以上残る → むくみあり

  3. むくみの範囲確認

    □顔だけ → 軽度

    □胸・お腹まで → 中等度

    □手足の先まで → 念のため医療機関にご相談ください

✅ 全身状態の確認

 □ おっぱい・ミルクをよく飲む

 □ 機嫌が良い

 □ 手足をよく動かす

 □ おしっこが1日6回以上出ている

上記4つすべてに当てはまる場合は、過度に心配する必要はありません。

【正常なむくみ vs 危険なむくみ】比較表

観察項目

正常なむくみ(生理的)

⚠️危険なむくみ(病的)

出現時期

出産直後〜産後3日頃

特に決まりなし、急激に悪化

むくみの範囲

主に足・顔

手足の先まで全身

左右差

左右対称

片方だけ強い

持続期間

1〜2週間で改善

1ヶ月以上続く

痛み

なし

あり(特に片足)

赤み・熱感

なし

あり

息苦しさ

なし

あり

体重増加

順調に回復

急激に増加

⚠️ こんな症状はすぐに受診を

以下の症状がある場合は、すぐに医療機関を受診してください

🚨 緊急性が高い症状

  1. 片方の足だけが急にパンパンに腫れ、痛み・赤み・熱感がある → 深部静脈血栓症(エコノミークラス症候群)の疑い → 血栓が肺に飛ぶと命に関わる
  2. 顔や手が急激にむくみ、激しい頭痛、目がチカチカ、吐き気がある → 産褥期高血圧症候群の可能性 → 脳出血などのリスクあり
  3. 横になると息苦しい、動悸、胸の痛みがある → 心不全の疑い → 出産による心臓への負担

「大したことなかったら申し訳ない」なんて思う必要はありません。気になることがあれば、遠慮なく医療機関に相談してくださいね。


むくみ解消をサポートする食事法

サラダの画像

産後の体は、食事からのケアが非常に重要です。体の内側から水分バランスを意識し、バランスの良い食事を心がけましょう。

積極的に摂りたい栄養素と食材

栄養素

働き

多く含まれる食材

カリウム

余分な塩分を排出

ほうれん草、アボカド、バナナ、さつまいも、わかめ、ひじき

タンパク質

血管から水分漏れを防ぐ

肉、魚、卵、豆腐、納豆

ビタミンE

血行促進

ナッツ類、かぼちゃ、アボカド

シトルリン

血管拡張、血流改善

スイカ、きゅうり、メロン

ビタミンB6

水分代謝をサポート

バナナ、鶏むね肉、さつまいも

控えめにしたい食事と飲み物

❌ 塩分の多い食事

  • 加工食品、インスタント食品
  • スナック菓子、外食
  • 料理は出汁・ハーブで減塩を

❌ 糖分の多いもの

  • 菓子類、清涼飲料水
  • 血糖値の急激な変動は体調に影響を与えることがある

❌ 体を冷やすもの

  • 冷たい飲み物、アイス
  • 常温・温かいものを選ぶ

❌ カフェイン・アルコール

  • 過剰摂取で脱水に
  • 授乳中は特に注意

💡 授乳中の方にもおすすめの簡単レシピ3選

1️⃣ アボカドと豆腐の和風サラダ(調理時間:5分)

【材料】

・アボカド 1個

・豆腐 半丁

・ミニトマト 数個

・かつお節 適量

・ポン酢 大さじ1

【作り方】

切って混ぜて和えるだけ!

✨ カリウムやタンパク質を含む食材を使用しています。

2️⃣ 具だくさん豚汁(調理時間:20分)

【材料】

・豚肉、さつまいも、大根

・ごぼう、きのこ類

・味噌

【ポイント】

一度にたくさん作って冷凍保存OK

✨ カリウムを含む食材を使った温かいメニューです。

3️⃣ 鶏むね肉とほうれん草のソテー(調理時間:10分)

【材料】

・鶏むね肉

・ほうれん草

・オリーブオイル、塩胡椒

【作り方】

炒めて塩胡椒で味付け

✨ タンパク質やカリウムを含む食材を使っています。


自宅でできる!むくみ解消マッサージ&ストレッチ

体の外側からのケアも役立つ場合があります。ただし、産後の体はデリケートなので、気持ちいいと感じる範囲で無理なく行ってください

5分でできる足のむくみ解消マッサージ

準備: ボディオイルやクリームを塗る

ステップ1:足裏をほぐす

  • 指の腹で足裏全体を押す
  • 土踏まずを重点的に

ステップ2:ふくらはぎをさすり上げる

  • 足首→膝裏に向かって
  • 両手で包み込むように
  • 必ず下から上へ
  • 5〜10回繰り返す

ステップ3:膝裏のリンパ節を刺激

  • 膝裏を指で優しくプッシュ
  • リンパ節周辺を優しくケアしてリラックス

顔と手のむくみケア

😊 顔のマッサージ

  • 額の中央→こめかみ
  • 目頭→目の下→こめかみ
  • 小鼻の横→耳の前
  • 耳の下→鎖骨

注意: 強くこすらない!優しくなでる程度で

👐 手のマッサージ

  • 指を1本ずつ付け根→指先に引っ張る
  • 手首を回す
  • グーパー運動

💡 授乳中の隙間時間にも◎

産褥期でも無理なくできるストレッチ3選

1️⃣ 足首の曲げ伸ばし

  • 座った状態で足首を手前に曲げる
  • つま先を伸ばす
  • ゆっくり10回×3セット

2️⃣ 足首回し

  • 内回り10回
  • 外回り10回
  • ふくらはぎの筋肉を動かす

3️⃣ 手足のグーパー運動

  • 手と足の指を同時に動かす
  • 「グー」「パー」を繰り返す
  • 末端まで心地よい温かさを感じられる

💡 骨盤ベルトの着用や骨盤底筋体操は、骨盤周辺をサポートし、快適な毎日を目指す方におすすめです。


むくみをためないための生活習慣

日々のちょっとした工夫で、むくみを予防・改善できます。

水分補給と体を温める工夫

💧 正しい水分補給

  • ❌ 誤解:「むくむから水を控える」
  • ⭕ 正解:「こまめに少しずつ飲む」
  • 目安:1日1.5〜2リットル
  • 常温の水や白湯がおすすめ

🔥 体を温める方法

  • 靴下、レッグウォーマー着用
  • 腹巻でお腹を温める
  • ぬるめのお風呂にゆっくり
  • 足湯でリラックスするのもおすすめ
  • 生姜・根菜類を積極的に摂取

着圧ソックスの効果的な使い方

✅ 正しい使い方

  • 朝、むくむ前に履く
  • 日中の活動時に着用
  • サイズは必ず測って選ぶ

❌ 注意点

  • 就寝中は基本NG(夜間用は除く)
  • きつすぎるものは体に負担をかける場合がある
  • しびれ・痛みがあればすぐ脱ぐ
  • 帝王切開の方は医師に相談

睡眠と休息の大切さ

😴 休息のポイント

  • 赤ちゃんと一緒に寝る
  • 足を心臓より高くして休む
  • クッションや枕を活用
  • 短時間でも横になる

睡眠は心身の健康維持に大切な時間といわれています。無理せず、休める時にしっかり休むことが大切です


まとめ:赤ちゃんとの時間を笑顔で過ごすために

母と子が笑顔で見つめあう様

産後のむくみは、出産という大仕事を終えた体が元に戻ろうとする自然な変化です。ほとんどの場合、1〜2週間で徐々に改善していきます。

この記事でご紹介した、食事の見直し、マッサージ、ストレッチ、生活習慣の工夫は、どれも自宅で手軽に実践できるものばかり。できることから少しずつ始めてみてください。

覚えておいてほしい3つのポイント

焦らず、自分のペースで

  • 完璧を目指さなくてOK
  • 気持ちいいと感じる範囲で

赤ちゃんの様子と自分の体をよく観察

  • 片足だけのむくみ
  • 激しい頭痛、息苦しさ
  • これらがあれば迷わず受診

不安な時は一人で抱え込まない

  • 「大したことないかも」と思っても相談を
  • 専門家に相談することが最良の選択

むくみケアを行うことで、体が楽に感じられることがあります。体が軽く感じられると、赤ちゃんとの時間もより快適に過ごせるかもしれません。

少しでも不安があれば、いつでもお気軽にご相談ください。あなたとご家族の笑顔あふれる毎日を、私たちは全力でサポートいたします。


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