

母乳が少ない原因と対処法!量を増やすコツと不足のサイン
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実は母乳不足には明確なサインがあり、適切な対処をすることで分泌量を増やすことが可能です。この記事では、母乳不足の見極め方から具体的な改善方法まで、授乳中のママが知っておきたい情報を詳しく解説します。

母乳が少ないと感じるのはなぜ?

「母乳不足」と「母乳不足感」の違い
授乳中のママの多くが「母乳が少ないのでは?」と不安を抱きます。しかし実際には、母乳の分泌が本当に不足している「母乳不足」と、十分に出ているのに足りないと感じてしまう「母乳不足感」は区別して考える必要があります。
母乳不足は、赤ちゃんの体重が増えない、排泄の回数が極端に少ないなど、明確なサインで判断されます。一方で母乳不足感は「赤ちゃんが泣き止まない」「おっぱいが張らない」といった主観的な感覚から生じることが多いのです。授乳期にはホルモンや体調の変化も影響するため、母乳不足感はとてもよくある現象といえます。
つまり「母乳が少ない」と感じても、必ずしも赤ちゃんに必要な栄養が足りていないわけではありません。まずは不足と不足感を見分けることが、落ち着いて対応する第一歩になります。
授乳初期に起こりやすい不安
特に出産直後から数週間は、母乳量が安定していないため不安を感じやすい時期です。母乳は赤ちゃんが吸う刺激によって分泌が促されるため、授乳を重ねるうちに量が増えていきます。ところが「なかなか張らない」「母乳が溜まっている感覚がない」と感じると、不足しているように思えてしまいます。
さらに、赤ちゃんは一度にたくさん飲めず頻回授乳になるため、「こんなに泣いてばかりで母乳が足りていないのでは?」と心配するママも多いです。しかし、これは赤ちゃんが成長のために頻繁に欲しがっているだけの場合も少なくありません。
この時期は、母乳の量そのものよりも赤ちゃんの体重増加や排泄の回数などを観察することが大切です。不安なときは一人で抱え込まず、母乳外来や助産師に相談するのも安心につながります。
母乳が少なくなる主な原因
母乳の分泌はホルモンや授乳の刺激によって調整されるため、ちょっとした生活の乱れや体調の変化でも影響を受けやすいものです。ここでは母乳が少なくなる代表的な原因を整理してみましょう。
授乳リズムや姿勢の問題
赤ちゃんが乳首をしっかりと含めていなかったり、授乳の間隔が長すぎたりすると、母乳が十分に吸い出されず、分泌が減少することがあります。授乳は「需要と供給」の関係で成り立っているため、吸われる回数が少ないと脳が「必要ない」と判断し、母乳を作る量も減ってしまうのです。授乳姿勢が合っていないと赤ちゃんが飲みにくく、効率的に母乳が出ないこともあるため、含ませ方や角度を工夫することが大切です。
ママの体調やストレス
睡眠不足や疲労が続くと、母乳の分泌を促すホルモン「プロラクチン」「オキシトシン」が出にくくなり、母乳量が減ってしまうことがあります。特にストレスはホルモンバランスに直結しやすく、緊張して授乳に集中できないと母乳の流れが悪くなることも。精神的に「出ていないかも」と思い込むこと自体が、母乳不足感を強めてしまうケースも多くみられます。
水分・栄養不足や体の冷え
母乳は血液から作られるため、水分不足や栄養の偏りは分泌量の低下につながります。特に水分を十分に摂っていないと、母乳の原料そのものが不足してしまいます。また、体の冷えも血流を悪くし、母乳の流れを妨げる原因となります。冷たい飲み物を控えて体を温める食事や衣服を選ぶことも、母乳分泌を助ける工夫のひとつです。
このように、母乳が少なくなる背景には複数の要因が絡んでいます。まずは自分の授乳リズムや体調、生活習慣を見直すことで、改善できるポイントが見えてくるでしょう。
母乳不足のサインをチェック
母乳が足りているかどうかは目で見て確認できないため、不安になるママは多いものです。実際には、赤ちゃんやお母さんの体にいくつかのサインが現れます。ここでは「母乳不足の可能性があるサイン」を整理してみましょう。
赤ちゃんの様子に表れるサイン
- 体重の増加がゆるやか、または増えていない
母乳が足りていれば、1週間ごとに少しずつでも体重は増えていきます。体重がなかなか増えない場合は不足の可能性があります。 - おしっこやうんちの回数が少ない
新生児期であれば1日に5〜6回以上のおしっこが目安とされます。回数が極端に少ない場合は母乳量を見直すサインになります。 - 授乳後すぐに泣く、満足していない様子が続く
授乳後も落ち着かず泣き続ける、短時間で頻繁に欲しがる場合は、十分に飲めていない可能性があります。
こうしたサインは一つだけでは判断が難しいため、複数が当てはまる場合に「母乳不足」を疑うのがよいでしょう。
母乳量を増やすための対処法

母乳は「赤ちゃんに吸われる刺激」と「ママの体のコンディション」によって作られます。足りないと感じたときも、ちょっとした工夫で分泌を増やすことが可能です。ここでは、具体的に取り入れやすい方法をご紹介します。
授乳方法の工夫(回数・姿勢・含ませ方)
母乳量を増やす基本は、赤ちゃんにしっかりと吸ってもらうことです。授乳回数を増やす、授乳の間隔を空けすぎないといった工夫で、刺激の回数を多くすることが大切です。赤ちゃんが乳首を浅くくわえていると効率よく吸えないため、乳輪まで深く含ませるようにしましょう。また、授乳姿勢を変えていろいろな角度から吸わせると、乳房全体が刺激されやすくなります。
食生活と水分補給の工夫
母乳は血液から作られるため、栄養バランスの取れた食事と十分な水分補給が欠かせません。特にタンパク質(魚、豆類、鶏肉)や鉄分、葉酸などは母乳分泌を助ける栄養素といわれています。また、授乳の前後やお風呂上がりなどは意識して水分を摂りましょう。冷たい飲み物よりも常温や温かい飲み物の方が体を冷やさずおすすめです。
リラックスと休養を大切に
ストレスや疲労は母乳分泌を妨げる大きな要因です。十分な睡眠がとれなくても、赤ちゃんがお昼寝しているときに一緒に横になるなど、少しでも体を休めましょう。深呼吸や軽いストレッチなど、リラックスできる習慣を取り入れるのも有効です。「母乳が出ないのは自分のせい」と思い込む必要はありません。気持ちを楽にすることも母乳育児を続けるうえで大切なポイントです。
このように、授乳の工夫・食事や水分・休養を意識することで、母乳の量は少しずつ改善していくことが期待できます。焦らず続けることが成功のカギです。
効果的なサポート方法
母乳量を増やすためには、授乳以外のサポートを取り入れることも効果的です。日常の工夫に加えて、専門的な方法や補助的な手段を取り入れることで、より安心して母乳育児を続けられるようになります。
搾乳やマッサージの活用
授乳後に乳房に母乳が残っていると、分泌が抑えられてしまうことがあります。そのため、赤ちゃんが飲みきれなかった分を搾乳することで「まだ必要」と体にサインを送り、分泌を促すことができます。また、乳房をやさしくマッサージしてから授乳すると、母乳の流れがスムーズになり、赤ちゃんも飲みやすくなります。マッサージは乳房を温めながら行うとより効果的です。
ミルクとの併用について考える
母乳がどうしても足りないときは、無理に母乳だけで頑張ろうとせず、必要に応じてミルクを併用する方法もあります。補助的にミルクを取り入れることで赤ちゃんの栄養を確保しつつ、ママの体を休めることができます。授乳とミルクを組み合わせる「混合育児」は多くの家庭で実践されており、決して特別なことではありません。母乳とミルクをどうバランスよく取り入れるかは、赤ちゃんやママの状況によって異なるため、助産師や医師に相談しながら調整していきましょう。
母乳量を増やすには、授乳そのものを工夫することに加え、搾乳やマッサージ、必要に応じたミルクの活用など、柔軟に対応することが大切です。「母乳だけで頑張らなければ」と思い込まず、赤ちゃんとママがともに心地よく過ごせる方法を見つけていきましょう。
医療機関や母乳外来に相談する目安

母乳不足を感じたとき、自分でできる工夫だけで改善できる場合も多いですが、早めに専門家に相談した方が安心できるケースもあります。相談の目安を知っておくことで、不安を抱え込まずに適切なサポートを受けられます。
相談した方がよいサイン
- 赤ちゃんの体重がなかなか増えない、むしろ減ってしまう
- 授乳後もぐずりが強く、満足していない様子が続く
- おしっこの回数が極端に少ない(1日4回未満など)
- ママの乳房にしこりや痛みがあり、授乳がつらい
- 母乳不足に加えて発熱や強い疲労感がある
こうした場合は、自己判断せずに医師や助産師に相談することをおすすめします。
母乳外来でできること
母乳外来や助産師相談室では、赤ちゃんの体重や飲み方のチェック、授乳姿勢の指導、マッサージのサポートなどが受けられます。「自分のやり方が正しいのかわからない」と感じているママにとって、専門家のアドバイスは大きな安心につながります。
母乳育児はママ一人で抱え込むものではありません。医療機関や母乳外来に相談することで、母乳不足の原因を一緒に探り、解決に向けた具体的な方法を見つけることができます。不安を感じたときは、早めに専門家に頼ってみましょう。
まとめ|焦らず取り組んで母乳育児を続けましょう

母乳が少ないと感じると、不安や焦りから「自分のせいではないか」と悩んでしまうママも少なくありません。しかし、母乳不足には原因やサインがあり、多くの場合は授乳方法の工夫や生活習慣の見直しで改善できることがわかっています。
赤ちゃんの体重増加やおしっこの回数など客観的なサインを確認しつつ、授乳の回数や姿勢を工夫する、バランスの良い食事や十分な水分補給を心がける、休養を取ってリラックスするなど、小さな積み重ねが母乳分泌を助けてくれます。
それでも不安が続くときや、赤ちゃんの成長に影響があると感じるときは、母乳外来や医療機関に相談することが大切です。専門家のアドバイスを受けることで、解決策が見つかり、安心して母乳育児を続けられるでしょう。
母乳育児はママと赤ちゃんの二人三脚です。無理をせず、時にはミルクの力も借りながら、「母乳が出ないこと=失敗」ではないと心に留めてください。焦らず一歩ずつ取り組むことで、きっと母乳育児がより楽しく、安心できるものになるはずです。




