RSウイルス母子免疫ワクチン【2026年版】費用・接種時期を解説

RSウイルス母子免疫ワクチン【2026年版】費用・接種時期を解説

公開日
生後間もない赤ちゃんがRSウイルスに感染すると、重症化のリスクがあることをご存じでしょうか。近年、妊娠中のお母さんが接種することで赤ちゃんを守る「母子免疫ワクチン」が注目されています。接種時期や費用、2026年度からの定期接種化など、妊婦さんが知っておきたい情報をわかりやすく伝えます。
神谷 仁
神谷 仁かみや母と子のクリニックかみや母と子のクリニック院長/沖縄県産婦人科医会副会長1985年5月に琉球大学産婦人科に入局し、昨年6月に分娩取り扱いを終了するまで2万人以上の分娩に立ち会ってきました。生理、出産、育児、更年期等の悩みなど女性の幅広い年齢層に対応できるクリニックの院長として地域医療に取り組んでおります。プロフィール詳細を見る

RSウイルス感染症とは?赤ちゃんへのリスク

寝ているあかちゃん

RSウイルスは、乳幼児に一般的な呼吸器感染症を引き起こすウイルスです。多くの大人や年長児では軽い風邪症状で済みますが、生後6か月未満の赤ちゃん、特に新生児にとっては深刻な病気となることがあります。

症状と重症化のサイン

初期症状は鼻水、咳、発熱など、一般的な風邪とよく似ています。しかし、数日後に症状が悪化し、細気管支炎や肺炎といった重篤な状態に進展することがあります。

以下のような症状が見られたら、すぐに医療機関を受診してください。

  • 「ゼーゼー」「ヒューヒュー」という喘鳴がある
  • 呼吸時に肋骨の下や鎖骨の上がへこむ「陥没呼吸」
  • 呼吸が速い、または肩で息をしている
  • ミルクや母乳の飲みが明らかに悪い
  • 顔色が悪く、唇が紫色になっている
  • ぐったりして機嫌が悪い

実際、RSウイルス感染症で入院する子どものほとんどが生後1歳未満、特に生後3か月未満の赤ちゃんに集中しています。重症化すると、酸素投与や点滴、場合によっては人工呼吸器が必要になるため、赤ちゃん本人だけでなく、ご家族にも大きな負担がかかります。

感染経路と予防の基本

RSウイルスは非常に感染力が強く、主に以下の経路で広がります。

  • 飛沫感染:感染者の咳やくしゃみによって飛び散ったウイルスを吸い込む
  • 接触感染:ウイルスが付着した手や物の表面に触れた後、目や鼻、口を触る

特に、おもちゃやドアノブ、手すりなど、多くの人が触れる場所はウイルスの温床となりやすいため注意が必要です。

日常的な予防策としては、以下を徹底しましょう。

  • 流水と石鹸でこまめに手洗いをする(特に外出後や赤ちゃんのお世話の前)
  • アルコール消毒液で手指を消毒する
  • 咳やくしゃみをする際は、ティッシュや腕で口と鼻を覆う
  • 赤ちゃんが触れるおもちゃや共有部分を定期的に清拭・消毒する
  • 室内の加湿と換気を心がける

特に、上のきょうだいが保育園や幼稚園に通っている場合、ウイルスを持ち帰るリスクが高まります。また、風邪気味の大人は赤ちゃんとの濃厚な接触を避け、マスクを着用するなど細心の注意を払うことが大切です。

残念ながら、RSウイルス感染症には特効薬がありません。そのため、「予防」が最も重要な対策となります。


母子免疫ワクチン『アブリスボ』の仕組みと特徴

赤ちゃんをRSウイルスから守るために、近年注目されているのが「母子免疫ワクチン」です。これは赤ちゃん自身がワクチンを接種するのではなく、妊娠中のお母さんが接種することで、お腹の赤ちゃんに免疫を届ける方法です。

なぜ妊婦さんが接種するのか

母子免疫の仕組みは、自然の摂理に基づいています。

  1. 妊婦さんがワクチンを接種すると、お母さんの体内でRSウイルスに対する抗体が作られます
  2. 胎盤を介して抗体が赤ちゃんに移行すると考えられています
  3. 生まれてきた赤ちゃんは、お母さんから受け継いだ抗体によって、一定期間RSウイルス防御が期待されます

母親から受け継いだ抗体が、赤ちゃんの健康を守る一助になります。
日本国内で承認されているワクチンは「アブリスボ®筋注用」(ファイザー社)です大規模な国際共同臨床試験において、母子双方への有効性や安全性が示唆されています。

ワクチンの有効性

報告されている主な効果は以下の通りです。

  • 受診リスクの低減: 生後6か月までにRSウイルスで医療機関を受診するリスクが約57%減少。
  • 重症化・入院の防止: 細気管支炎や肺炎での入院リスクを約69%低下。

※このワクチンは感染を100%防ぐものではなく、あくまで「重症化を防ぐ」ことが主な目的ですである点を理解しておくことが大切です。


接種時期と対象者【いつからいつまで?】

産婦人科帰りの手をつなぐ夫婦

母子ワクチンの効果を十分に得るためには、適切な時期に接種することが推奨されています。

最適な接種時期は妊娠28~36週

RSウイルス母子免疫ワクチンの接種に最も適した時期は、妊娠28週から36週の間とされています。この期間が推奨される理由は以下の通りです。

胎盤を介した抗体移行が最も活発になる時期 :妊娠後期になると、胎盤を通じた抗体の移行が効率的に行われます。この時期に接種することで、赤ちゃんがより多くの抗体を受け取る可能性があり、生まれてからの免疫効果が高まると考えられています。

出産までに十分な量の抗体を作る時間を確保できる :ワクチン接種後、抗体が体内で生成されるまでにはある程度の期間が必要です。妊娠28週以降の接種により、抗体が形成され、赤ちゃんに移行する可能性があるとされています。

妊娠週数がこの期間に該当する方は、かかりつけの産婦人科医に相談し、具体的な接種計画を立ててみてください。

接種対象者

RSウイルス母子免疫ワクチンの接種対象は、妊娠中の女性です。このワクチンは、赤ちゃん自身に直接接種するものでも、すでに赤ちゃんが生まれた授乳中の母親を対象とするものでもありません。

妊婦さんが接種することで体内にRSウイルスに対する抗体を作り出し、その抗体を胎盤を通じてお腹の赤ちゃんに移行させることが目的です。これにより生まれた赤ちゃんがRSウイルスに感染しやすい生後初期に、お母さん由来の抗体が一定の役割を果たす可能性があります。



費用と2026年度からの定期接種化

ワクチン接種にかかる費用は、多くの保護者の方が気になる点の一つでしょう。現在の任意接種の場合の費用と、将来的に定期接種化された場合の見込みについて解説します。

現在の任意接種での費用相場

現在、RSウイルス母子免疫ワクチンは定期接種の対象外であり、「任意接種」として実施されています。そのため、接種費用は医療機関が自由に設定できる「自由診療」となり、全国一律の価格はありません。

一般的な費用相場:1回あたり27,500円~38,500円(税込)程度

この金額には、ワクチンの薬剤費だけでなく、診察料や接種手技料などが含まれます。任意接種の場合、健康保険が適用されないため、接種にかかる費用は全額自己負担となります。

接種を検討される際は、事前に医療機関に費用を確認することをおすすめします。複数の医療機関で価格を比較することも可能です。

また、自治体によっては、RSウイルスワクチンを含む特定の予防接種に対して、独自の助成制度を設けている場合があります。お住まいの地域で利用できる助成制度がないか、ぜひ確認してみてください。

情報収集の方法

  • 「お住まいの自治体名 RSウイルス ワクチン 助成」で検索
  • 市区町村の保健センターや公式ウェブサイトで確認
  • 妊婦健診時にかかりつけの産婦人科で相談

定期接種化後の見込み

現在、厚生労働省の審議会でRSウイルス母子免疫ワクチンの定期接種化に向けた議論が進められており、2026年度以降に定期接種となる見込みです。

定期接種化された場合、予防接種法に基づき、原則として公費負担の対象となります。支給費用が無料または一部自己負担となる可能性がありますが、当面は詳細は未定です。詳細は今後の発表に注目していくことが大切です。


ワクチンの安全性とよくある質問

ワクチン接種を検討する上で、安全性や副反応について正確に理解することは非常に大切です。ここでは、妊婦さんが抱きやすい疑問にお答えします。

副反応について

ワクチン接種後、一部の方に副反応が現れる可能性があります。母子免疫ワクチンを接種した妊婦さん自身に最も多く見られる副反応は以下の通りです。

主な副反応

  • 注射部位の痛み、腫れ、赤み
  • 筋肉痛
  • 頭痛
  • 倦怠感

これらの症状は、多くのワクチンで共通して見られるもので、通常は一時的なものです。ほとんどの場合、数日以内に自然に治まります。

非常に稀ではありますが、アナフィラキシーのような重篤なアレルギー反応が起こる可能性もゼロではありません。しかし、これはきわめて稀なケースであり、医療機関では万が一に備えた体制が整っています。

また、妊婦さんが最も心配されるであろう「お腹の赤ちゃんへの影響」についても、大規模な臨床試験において、妊娠中のワクチン接種による安全性への懸念は認められなかったと報告されています。ただ、赤ちゃんの健康への重大な副反応は報告されていないが、今後新たな知見が得られる可能性もあります。

ワクチン接種によるメリットとデメリットを比較検討し、不安な点は遠慮なくかかりつけ医に相談しましょう。



よくある質問|Q&A

Q. 他のワクチン(インフルエンザなど)と同時に接種できますか?

A. 原則として、RSウイルスワクチンと他のワクチンとの同時接種は可能です。妊婦健診では、インフルエンザワクチンや百日咳のワクチンなど、推奨される予防接種がいくつかあります。

多くの研究で、異なる種類のワクチンを同時に接種しても、それぞれのワクチンの効果が損なわれたり、副反応が増強されたりするリスクは低いとされています。

ただし、最終的な判断は、妊婦さんの健康状態やお腹の赤ちゃんの状況、地域での感染症の流行状況などを総合的に考慮して、かかりつけの産婦人科医が行います。同時接種を希望される場合は、必ず事前に担当の産婦人科医に相談してください。

Q. 接種すれば赤ちゃんは絶対にRSウイルスに感染しませんか?

A. RSウイルス母子免疫ワクチンを接種したからといって、赤ちゃんがRSウイルスに「絶対に感染しない」わけではありません。

このワクチンの最大の目的は、赤ちゃんがRSウイルスに感染してしまった場合の「重症化」を防ぐことにあります。妊婦さんがワクチンを接種することで、赤ちゃんは母親から受け継いだ抗体によって、RSウイルス感染時の重症化リスクが軽減する可能性があるとされていますが、効果には個人差があります。

したがって、ワクチンを接種した後も、RSウイルスの基本的な感染対策を継続することが非常に重要です。家族全員で帰宅後の手洗い・うがいを徹底する、人混みを避ける、風邪症状がある人との接触を控えるといった対策を心がけましょう。

Q. どこで接種できますか?

A. RSウイルス母子免疫ワクチンの接種は、主に「産婦人科」で行われています。妊娠中に接種するワクチンであるため、日頃から妊婦健診で通院しているかかりつけの産婦人科で接種するのが一般的で、最もスムーズです。

ただし、すべての産婦人科でRSウイルスワクチンの取り扱いがあるわけではありません。接種を希望される場合は、まずご自身が通院されているかかりつけの産婦人科に電話などで問い合わせ、接種が可能かどうか、ワクチンの在庫状況、予約方法について確認することが第一歩となります。

多くの医療機関では、事前の予約が必要となりますので、接種を検討されている方は、早めに医療機関に連絡し、詳細を確認するようにしてください。


まとめ:赤ちゃんを守るために、まずはかかりつけ医へ

女医のほほ笑み

RSウイルスは、特に小さなお子さんにとって、細気管支炎や肺炎といった重篤な呼吸器疾患を引き起こす可能性がある、決して軽視できない感染症です。しかし、「母子免疫ワクチン」は、妊娠中のママが接種することで、お腹の赤ちゃんに免疫を届け、生まれてからの重症化リスクを軽減できる可能性がある予防策として注目されています。

赤ちゃんの健康を守りたいと願う気持ちは、すべての親御さんに共通するものです。RSウイルスに対する不安を一人で抱え込まず、まずはこの記事で得た知識を参考に、かかりつけの産婦人科医に相談してみましょう。専門家からの正確な情報を得ることで、赤ちゃんとご自身の、安心で健やかな未来につながる一歩を踏み出すことができます。

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