

【時期別】妊婦におすすめの食べ物ガイド|初期・中期・後期の注意点
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妊娠中の食事で大切な3つの基本

妊娠中の食事と聞くと、「あれもダメ、これもダメ」と制限ばかりのイメージがあるかもしれません。けれど実際には、基本のポイントさえ押さえれば、難しく考えすぎる必要はありません。まずは3つの基本を確認してみましょう。
① 「主食・主菜・副菜」をそろえる
毎食すべて完璧にする必要はありませんが、ごはんやパンなどの「主食」、肉・魚・卵・大豆製品などの「主菜」、野菜・きのこ・海藻などの「副菜」を意識するだけで、自然と栄養バランスが整いやすくなります。たとえば朝食にご飯・味噌汁・卵焼き、昼食にサンドイッチ・サラダ・チキン、というように組み合わせてみてください。
② 「食べられるものを、食べられるときに」
特につわりの時期は、理想の食事が難しいこともあります。「食べなければ」と自分を追い詰めず、食べられるものを少しずつ口にすることが大切です。体調が落ち着いてきたら、少しずつバランスを意識していけば大丈夫ですよ。
③ 信頼できる情報をもとに判断する
インターネットやSNSにはさまざまな情報がありますが、厚生労働省の「妊産婦のための食生活指針」や、かかりつけの医師・助産師のアドバイスを軸にするのがおすすめです。体験談はあくまで参考として、医学的根拠のある情報を優先しましょう。
妊娠中の食事は、赤ちゃんへの最初のプレゼントでもあります。完璧を目指すよりも、「できる範囲で、楽しみながら」を合言葉に、毎日の食卓を整えていきましょう。
【妊娠初期】つわり中でも摂りやすいおすすめ食材

妊娠初期(〜15週ごろ)は、赤ちゃんの脳や心臓、神経といった大切な器官がつくられ始める時期です。同時に、多くの妊婦さんが経験する「つわり」の症状が出やすい時期でもあります。吐き気や食欲不振、においへの敏感さなど、症状は人によってさまざまです。「ちゃんと栄養を摂らなきゃ」と焦る気持ちもあるかもしれませんが、この時期は無理をしないことが一番大切です。
つわりのときに食べやすい食べ物
つわりがつらいときは、以下のような食べ物が比較的食べやすいといわれています。
- 冷たくてのどごしの良いもの:そうめん、冷奴、ゼリー、冷やしたフルーツ(りんご・バナナ・キウイなど)
- 酸味のあるもの:トマト、柑橘類(みかん・グレープフルーツ)、酢の物、梅干し
- 少量ずつつまめるもの:おにぎり、クラッカー、一口サイズのサンドイッチ
一度にたくさん食べられない場合は、1日3食にこだわらず、5〜6回に分けて少しずつ口にする「分割食」の方法もおすすめです。空腹になると気持ちが悪くなりやすい方は、枕元にクラッカーやビスケットを置いておくのもよいでしょう。水分補給も大切なので、少しずつこまめに飲むことを心がけてみてください。
妊娠初期に意識したい栄養素「葉酸」
妊娠初期にとくに重要とされている栄養素が「葉酸」です。葉酸は赤ちゃんの脳や脊髄(神経管)が正常に発達するために欠かせないもので、十分な量を摂ることで「神経管閉鎖障害」のリスクを低減できることが分かっています。厚生労働省でも、妊娠を計画している段階からの摂取を推奨しています。
葉酸が豊富な食材:
食材 | 葉酸の特徴 |
|---|---|
ほうれん草 | ゆでてもしっかり摂れる定番の緑黄色野菜 |
ブロッコリー | 食物繊維やビタミンCも一緒に摂取できる |
枝豆 | 冷凍でも栄養価が高く、おやつ代わりにも |
いちご | つわり中でも食べやすい酸味のあるフルーツ |
納豆 | 手軽に摂れて鉄分やたんぱく質も豊富 |
アスパラガス | 炒め物やスープなど幅広い料理に使いやすい |
つわりで食事が十分に摂れない場合は、葉酸サプリメントの活用も選択肢のひとつです。ただし、サプリメントを取り入れる際は、自己判断ではなく、かかりつけの医師に相談のうえ、適切な種類と量を選ぶようにしましょう。
【妊娠中期】赤ちゃんの成長を支える鉄分・カルシウム

妊娠中期(16〜27週ごろ)は、つわりが落ち着いて体調が安定する「安定期」に入る方が多い時期です。胎盤が完成し、赤ちゃんの骨や筋肉、臓器が大きく成長していくため、ママの体からたくさんの栄養が送られるようになります。食欲が回復してくるこの時期こそ、バランスの良い食事を心がける絶好のタイミングです。
鉄分・カルシウムが豊富な食材リスト
妊娠中期にとくに意識して摂りたいのが「鉄分」と「カルシウム」です。
鉄分について: 妊娠中は血液量がおよそ1.5倍に増えるため、鉄分が不足しやすくなります。貧血になると、めまいやだるさ、息切れといった症状が出るだけでなく、赤ちゃんへの酸素供給にも影響する場合があります。
鉄分が豊富な食材 | 吸収を助ける組み合わせ |
|---|---|
赤身の肉(牛もも肉など) | ビタミンCが豊富なパプリカやブロッコリーと一緒に |
あさり・しじみ | レモンを絞った酢の物やスープで |
小松菜・ほうれん草 | 果物(いちご・キウイ)をデザートに |
レバー(少量) | ※ビタミンAの過剰摂取に注意(後述) |
大豆製品(納豆・豆腐) | 野菜たっぷりの味噌汁に加えて |
カルシウムについて: 赤ちゃんの骨や歯をつくるために不可欠な栄養素です。ママの摂取量が不足すると、ママ自身の骨からカルシウムが溶け出してしまうことがあり、将来的な骨粗しょう症のリスクにつながる場合もあります。
- 牛乳・ヨーグルト・チーズなどの乳製品
- 豆腐・厚揚げなどの大豆製品
- 小魚(しらす・ちりめんじゃこ)
- 小松菜・水菜などの青菜類
カルシウムの吸収を助けるビタミンDは、きのこ類や鮭などの魚に多く含まれています。日光を浴びることでも体内で生成されるので、天気の良い日は少し散歩をしてみるのもいいですね。
体重管理と食事の工夫
つわりが落ち着くと食欲が増して、体重が急に増えやすくなる方もいます。妊娠中の適切な体重増加はママと赤ちゃんの健康に欠かせませんが、増えすぎると妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病のリスクが高まることがあります。一方で、体重が増えなさすぎるのも赤ちゃんの発育に影響することがあるため、バランスが大切です。
体重管理のポイントとしては、次のような工夫が役立ちます。
- おやつはフルーツやヨーグルト、ナッツなど栄養価の高いものを選ぶ
- 食事はよく噛んでゆっくり食べる(満腹感を得やすくなります)
- 味付けは薄めを心がけ、塩分の摂りすぎを防ぐ
- 揚げ物より煮物・蒸し物を中心にする
妊娠前のBMIに応じた適切な体重増加の目安がありますので、健診の際に医師や助産師と一緒に確認しておくと安心です。自己判断での食事制限は避け、専門家に相談しながら進めていきましょう。
【妊娠後期】貧血・便秘・むくみ対策の食事術

妊娠後期(28週以降)は、お腹がぐんと大きくなり、出産に向けて体の準備が本格化する時期です。大きくなった子宮が胃や腸を圧迫するため、一度にたくさん食べにくくなったり、便秘やむくみといった「マイナートラブル」が増えたりする方も少なくありません。こうした不調は、食事の工夫で和らげられることが多いので、ぜひ試してみてください。
便秘・むくみを防ぐ食事のポイント
便秘対策には食物繊維と水分を
妊娠後期の便秘は、子宮による腸の圧迫やホルモンバランスの変化が主な原因です。食物繊維を豊富に含む食材を毎日の食事に取り入れ、あわせて十分な水分を摂ることが基本の対策になります。
- 野菜:ごぼう、ブロッコリー、ほうれん草
- きのこ類:しいたけ、えのき、まいたけ
- 海藻類:わかめ、ひじき
- 豆類・いも類:大豆、さつまいも
- 穀類:玄米、全粒粉パン、オートミール
ヨーグルトや味噌、納豆などの発酵食品を一緒に摂ると、腸内環境が整いやすくなります。
むくみ対策には塩分コントロールを
妊娠後期のむくみや、妊娠高血圧症候群を予防するためには、塩分を控えめにすることが重要です。1日の食塩摂取目標量は6.5g未満が目安とされています。
- だしをしっかり取って、うま味で薄味でも満足感を出す
- レモンや酢、しょうが、大葉などの香味で味にアクセントをつける
- 加工食品やインスタント食品は塩分が多いので、頻度を控えめにする
- 減塩タイプの調味料を活用する
カリウムを多く含むバナナ、アボカド、ほうれん草などは、体内の余分なナトリウムを排出する働きがあるため、むくみ対策にも役立ちます。
出産に向けてたんぱく質をしっかり摂ろう
妊娠後期は、赤ちゃんの筋肉や臓器が完成に近づき、体重もぐんぐん増える「ラストスパート」の時期です。この成長を支える材料となるのが「たんぱく質」で、妊娠期間の中で最もたんぱく質の必要量が多くなります。ママ自身の体力維持や、産後の母乳づくりの準備にも大切な栄養素です。
良質なたんぱく質を含む食材を、毎食バランスよく取り入れるようにしましょう。
- 肉類:鶏むね肉、豚ヒレ肉、牛もも肉(脂身が少ない部位がおすすめ)
- 魚類:鮭、サバ、タラ(DHA・EPAも同時に摂れます)
- 卵:1日1〜2個を目安に、加熱して食べましょう
- 大豆製品:豆腐、納豆、豆乳
- 乳製品:牛乳、ヨーグルト
お腹が大きくなって一度にたくさん食べられない場合は、間食にゆで卵やチーズ、豆乳ラテなどを取り入れて、こまめにたんぱく質を補給する方法も効果的です。
摂りすぎに注意したい食べ物・飲み物リスト
妊娠中は「これは絶対に食べてはいけない」というものは実は限られています。むしろ、「量や頻度に気をつければ大丈夫」なものがほとんどです。正しい知識を持っていれば、必要以上に怖がらずに食事を楽しむことができますよ。
以下に、特に注意が必要な食品をまとめました。
カテゴリ | 食品例 | 注意点 | 目安 |
ビタミンA | レバー、うなぎ | 妊娠初期の過剰摂取で赤ちゃんの発育に影響する可能性 | レバーは焼き鳥1本程度、うなぎはたまに楽しむ程度ならOK |
水銀 | クロマグロ、メカジキ、キンメダイ | 赤ちゃんの神経系の発達に影響する可能性 | クロマグロ・メカジキは週80gまで。鮭・アジ・サバ等は心配不要 |
カフェイン | コーヒー、紅茶、緑茶、エナジードリンク | 赤ちゃんの成長への影響や流産リスクの可能性 | 1日300mg未満(コーヒーカップ1〜2杯程度) |
ヨウ素 | 昆布(とくに大量摂取) | 赤ちゃんの甲状腺機能への影響 | 味噌汁のだし程度なら問題なし。毎日大量に食べるのは避ける |
アルコール | ビール、ワイン、日本酒、料理酒 | 胎児性アルコール症候群のリスク | 妊娠中は飲まないことが推奨されています |
生もの | 刺身、生卵、生ハム、ナチュラルチーズ | リステリア菌やトキソプラズマなどの感染リスク | しっかり加熱してから食べましょう |
補足ポイント
- 緑黄色野菜に含まれるβ-カロテンは、体内で必要な分だけビタミンAに変換されるため、野菜からの摂取では過剰症の心配はありません。野菜はたっぷり食べて大丈夫です。
- 魚はDHAやEPAなど赤ちゃんの脳の発達に良い栄養素の宝庫です。水銀が少ない魚(鮭、アジ、イワシ、サンマ、サバなど)は積極的に食卓に取り入れましょう。
- カフェインが気になる方は、麦茶、ルイボスティー、カフェインレスコーヒーなどに置き換えてみるのもおすすめです。
妊娠中の食事で迷ったら、かかりつけ医に相談を
ここまで、妊娠の時期別におすすめの食べ物や気をつけたいポイントをお伝えしてきました。大切なのは、完璧を目指すのではなく、「できる範囲でバランスよく」を意識すること。忙しい日はコンビニのサラダやお惣菜を上手に活用しても構いませんし、たまには好きなものを楽しんで、気持ちにゆとりを持つことも立派な栄養です。
妊娠中の食事は、赤ちゃんの健やかな成長を支えると同時に、ママ自身の体調を整えてくれるものでもあります。毎日の食卓に少しずつ「おすすめ食材」を取り入れながら、安心してマタニティライフを過ごしていただけたらうれしいです。
「この食材は食べても大丈夫?」「サプリメントを飲んだほうがいい?」「体重の増え方が気になる」など、食事に関する疑問や不安があれば、いつでもお気軽にご相談ください。当院では、妊婦さん一人ひとりの体調やライフスタイルに合わせた食事のアドバイスも行っています。ささいなことでも、遠慮なくお声がけくださいね。
【参考文献】
・厚生労働省「妊娠前からはじめる妊産婦のための食生活指針」(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kodomo/kodomo_kosodate/boshi-hoken/ninpu-02.html)
・厚生労働省「これからママになるあなたへ お魚について知っておいてほしいこと」(https://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/iyaku/syoku-anzen/suigin/dl/index-a.pdf)





